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2023/8

“死”との向き合い方を考えさせられることば

“死”との向き合い方を考えさせられることば

看護師さん・介護士さんはお仕事柄、誰かの「人生の結末」に触れる機会が多いのではないでしょうか。患者さん、ご利用者、あるいは身近な人の“死”を、皆さんはどのような気持ちで受け止めていますか? 今回は、Nursing-plaza.comの編集担当である私、たま子が「死との向き合い方」を考えるうえで、印象的だったことばをご紹介します。

寂しさと一緒に、幸せを目指して生きていく

人生って、小説や映画じゃない。
幸せな結末も、悲しい結末も、やり残したこともない。
あるのは、その人がどういう人だったかということだけです。
だから、人生にはふたつルールがある。
亡くなった人を、不幸だと思ってはならない。
生きている人は、幸せを目指さなければならない。
人は時々寂しくなるけど、人生を楽しめる。
楽しんでいいに決まってる。
-ドラマ『大豆田とわ子と3人の元夫』小鳥遊 大史(オダギリジョー)-

これは、2021年に放送されたドラマ『大豆田とわ子と3人の元夫』の中のセリフです。ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、松たか子さん演じる主人公・とわ子が、とある人の“死”と向き合うきっかけとなったことばでした。

私は、「亡くなった人を不幸だと思ってはならない。生きている人は幸せを目指さなければならない」というところが好きです。命を終えた方への礼儀、そして残された人たちの生き方が示されている気がします。私自身、両親や恋人、友人を亡くした経験はまだありません。もし、そうした人たちの死に直面したとき、なかなか立ち直れないかもしれませんし、こんな風には受け止められないかもしれない。それでも、幸せに生きることを目指してまた歩き出せるよう、このことばを心のくすりばこに入れておきたいと思っています。

今回このことばを選んだのは、ちょうどお盆シーズンに帰省したことも関係しています。久しぶりに、祖母と亡くなった祖父の話をしました。庭いじりをする姿、湯豆腐が好きだったこと、小さい頃、祖父の自転車の後ろに乗って山菜をとりにいったこと、いろいろなことを思い出しました。高校生まで当たり前のように会うことができたのに、もう会って話すことはできないのだと思うと、不思議で、そしてやっぱり寂しいものです。でも寂しくなって、きっといいのだと思います。「人は時々寂しくなるけど、人生を楽しめる。楽しんでいいに決まってる」のですから。

大豆田とわ子と3人の元夫
フジテレビ系
放送 2021年4月13日~6月15日
出演  松たか子 岡田将生 角田晃広 松田龍平 市川実日子 高橋メアリージュン
脚本 坂元裕二

3回結婚して3回離婚したバツ3・子持ちの社長・大豆田とわ子が3人の元夫に振りまわされながら日々奮闘するロマンティック・コメディー。個性あふれる元夫や友人、家族とのテンポよいやり取りと、女優 伊藤沙莉さんの癖になるナレーションが見どころですよ。

脚本を担当した坂元裕二さんは、恋愛ドラマの金字塔として名高い『東京ラブストーリー』や、大ヒットを記録した映画『花束みたいな恋をした』など、数々の名作を送り出してきました。坂元さんが描く作品の好きなところは、日常で取りこぼしがちな瞬間や、感情の機微を絶妙に拾い上げたセリフ回しです。個人的には、ドラマ『カルテット』もおすすめ! 癖が強いけれどどこか憎めなくて、窮屈そうに、それでも自由に生きる人たちが魅力的な作品です。

【文】
たま子
Nursing-plaza.comの編集部員。趣味は、本、映画、ドラマ、音楽、広告など、ジャンルを問わず、ありとあらゆるものからすてきなことばを集めること。

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