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2024/7

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

「気づいたことを言葉にする」が、看護・介護従事者としてのフットケアの第一歩

「フットケア」というと「では、爪切りをやってみよう」といった技術的な行動に目が行きがちですが、「きれいに足を洗って差し上げる」「保湿をして差し上げる」なども、立派なフットケアです。ぜひ、できることから始めてみましょう」と木嶋先生。

「爪の状態を見て、気づく」「気づいたことを言葉にする」ことも、フットケアの一部であり、看護師さんや介護士さんの大切な役割だと、木嶋先生は続けます。

「患者さんや利用者さんの靴下を脱がせたり、靴を履かせたりする機会があったら、足の状態を一緒に確認し、もし爪が伸びているようであれば言葉にしてみてください。『爪、だいぶ伸びていそうですね』とご本人にお声がけするだけでも状況が変わると思います。見て気づいた変化を言葉にして、ご本人やご家族、チームのスタッフと共有していくことが大切です。

スタッフ同士で患者さんや利用者さんの状態を共有する時は『巻き爪が悪化したかな?』と足の状態を言葉にしたり、『とても乾燥していたから、おうちの方にクリームの用意をお願いしておいたよ』といったことを伝えあってみましょう。そうした習慣をもつだけで、足の状態がひたすら悪化するのか、現状を維持していけるのかが大きく変わっていきます」

たとえフットケアに関する講習を受けていなくても「この足の状態は問題だよね」という感覚は、一緒に働くスタッフであればわかってくれるはず。ぜひ、足に関する話題を日常的にスタッフと共有してみてください。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

教えて! 継続するためのコツQ&A

利用者さんにフットケアを始めてもらうには、どのようにお声がけをすればよいでしょうか?

「まずは『できることから始めましょう』とお声がけしてみてください。例えば、週1回クリームを塗ることができたら、『頑張ったね』とご自分を褒めてあげるように促しましょう。ご自身の行動を認められたり、頑張っている自分が見えてくると、フットケア自体にマイナス感情を感じなくなり、行動に対する想いが変わってきます。
とはいえ、週1回だとやや効果を感じにくいです。ご自分だけでなく周りの方も、ケアをした時とケアをしなかった時の違いに気づいて差し上げることも大切だと思います。『塗った次の日は、何か違う』と体感できると、行動を習慣化しやすくなります」

どのようなアイテムを活用すると、利用者さんがフットケアを習慣化できますか?

「看護師さんや介護士さんにフットケアをしていただくだけでもよいのですが、できれば患者さんや利用者さんご自身にも、足をケアしていただくことが望ましいです。ケアを楽しんでもらう方法として、例えば、保湿に使うクリームやオイルは、お気に入りの香りや塗り心地のよいものを選んでいただくとよいでしょう。さらにフットケアができた日は、カレンダーに可愛いシールを貼ったり、スタンプを押したりして可視化することをご提案すると、より楽しい気持ちで取り組んでもらえると思います」

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ご存じですか? 足について遊びながら学べる「足人(あしんちゅ)かるた」

木嶋先生がお住まいの群馬県には、「上毛かるた」を始めとした“かるた文化”が根付いています。

フットケアに取り組む医療従事者が集って2019年秋に結成されたぐんま足人の会では、「かるた」のクラウドファンディングにチャレンジして大成功を収めたそうです。
そして完成したのが、医療従事者の専門性が生かされた、足について遊びながら学べる「足人(あしんちゅ)かるた」。ぜひお手に取ってみませんか?


詳しくは「足人かるた」の紹介サイトをご覧ください!




<写真上>足人かるたのパッケージ。

<写真中央>絵札と読み札。読み札の裏に写真左側のような解説があります。

<写真左>学会の地方会でブース出展した際の様子。


木嶋千枝さん
足育実践フォーラムAbeby代表、群馬大学臨床教授
群馬大学病院・済生会前橋病院・伊勢崎市民病院に勤務し、2011年群馬大学博士前期課程(保健学)修了。2012年に日本看護協会慢性疾患看護専門看護師資格を取得。子どもと大人の足や靴を通した健康支援や啓発を提供するためにAbebyを起業し、2022年から群馬県渋川市で足育実践フォーラムAbeby(サロン)を開業、高齢者施設のフットケア委託も請け負う。その傍ら、群馬大学臨床教授、高崎市医師会看護学校非常勤講師を兼務する。
足育実践フォーラムAbeby

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