【イベントレポート】日本看護サミットでの事例紹介から、看護職の生涯学習支援を考える
2024/3/08
みんなの広場
2024/7
看護師による、看護師のための祭典「ナースまつり2024」が、規模や展示数、コンテンツ数などをパワーアップして今年も開催されました。Nursing-plaza.comでは全3回にわたって「ナースまつり2024」をレポートしていきます。2回目となる今回は、全35個のコンテンツの中でも、特に編集部が注目したコンテンツについてレポートしていきます!
第1回目はコチラ:【レポート】看護師にとって働きやすい病院が「ナースまつり2024」で決定!
昨今、看護職の採用において、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSの活用が重視されています。しかし、SNSの運用には継続的な運用体制の確保や発信ネタの企画など取り組むべきことが多くあり、実施に踏み出せない病院も多いのではないでしょうか。
そこで私たちが注目したコンテンツが「看護師のやりがいを支える? SNS採用の実際」です。SNSを活用して採用に成功している病院、訪問看護ステーションなど計5施設の広報担当者が集結し、各施設のSNS採用に関する取り組みや実情を紹介しました。
4つのSNSを駆使しているファースト訪問看護ステーション灘
株式会社first代表取締役でファースト訪問看護ステーション灘の管理者である高橋優太さんは、「SNSで採用は間違いなくできます!」と断言。実際に同ステーションでは、SNS経由で1年間に20~30名の問い合わせが来ており、11人の看護師採用に成功しているといいます。
使用しているSNSは、X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、TikTokと4つです。特に採用目的で運用しているInstagramでは、ショート動画であるリール投稿に注力しており、スタッフの紹介や訪問看護あるあるなどを発信。また、月に1回インスタライブも行っているそうです。ステーションを開設して2年、看護師の離職率0%を実現されています。
看護師5年目の2人を広報担当に任命した埼玉石心会病院
社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院では、フレッシュな2人の看護師が登壇。看護部長に推薦されたという2人が運用しているのが、YouTube とInstagramです。
YouTube では、2人がレポーターとなり院内紹介やスタッフインタビューなどを配信。レポーターとして活動したことで、院内スタッフや患者さん、実習に来た学生などから「YouTube を見ました」と声をかけられることが増えたそう。院外へのアピールだけでなく、院内のコミュニケーションツールとしても、SNS活用がよい効果をもたらしているようです。
講演に参加して感じたのは、「企画の大切さ」です。医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会病院の広報担当である町田詩織さんは「ネタの枯渇を防ぐことはもちろんですが、他病院との差別化も企画を考えるうえでは重要」と話していました。実際に当院のInstagramをのぞいてみると、「看護師の美容事情」や「看護師万歩計チャレンジ」、「資格を取得した看護師の紹介」など、さまざまな企画が散りばめられていてとても面白かったです!
「ナースまつり2023 」で「日本一働きやすい病院アワード」を受賞した長崎県対馬病院もSNSを活用し、応援ナースの採用に役立てています。「私たちの働き方改革」では離島ナースの人材確保について詳しく取材しているので、ぜひご覧ください!
看護部主導の広報活動で人材確保を強化! 離島ナースの不足解消目指す
認知症患者ケアの技法として、ここ数年注目を集めているのが、「ユマニチュード」です。ユマニチュードは、フランスの体育学の専門家が開発した、人間らしさを尊重した認知症ケアの技法です。
「ナースまつり2024」でも「もう認知症ケアで困らない~心が通うユマニチュードの実践」と題してセミナーが開催されるとのことで、取材をしてきました。会場はほぼ満席で、注目度の高さがうかがえました。
3日目の午後からセミナーブースで行われました
登壇したのは、エバーグリーン病院の看護師である浅利久美子さん。セミナーでは浅利さんの実体験を通し、ユマニチュードとは何か、認知症ケアにどのような変化が起こったのかが語られました。
お話の中で特に印象的だったのが、「患者さんと心が通う瞬間が増えてきていると実感しています」という言葉です。ユマニチュードでは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの技術を柱にしてケアを行います。その中の「見る」技術に取り組んだことで、患者さんと目と目を合わせて相手の反応をしっかり確認し、返答を待つようになったと言います。
「『見る』だけでなく、例えば『触れる』についても同じです。患者さんの着替えの手伝いや血圧を測る際、無意識に体に触れたり腕を掴んだりすることがあると思います。こうしたお世話をすることで、患者さんが興奮して攻撃的になってしまうと、『この患者さんは攻撃的なんだ』と私たちは思い込んでしまいます。ですが本当は、声がけをしなかったり相手の反応を見ようとせず、無意識に掴んでしまうことが原因なんです。『見る』『話す』『触れる』『立つ』の技術を実践しながら患者さんとコミュニケーションを取ることで、関係性が築けていけるのを実感しました」と浅利さん。この言葉に参加者の皆さんも大きくうなずいていました。
ユマニチュードには、認知症患者と心を通わせるための技術が詰まっているのだと、知りました。ユマニチュードの考え方や技術が広まることで、看護師さんや介護士さんの認知症ケアに対する悩みが少しでも減るのではないかと感じられるセミナーでした。
3日間にわたって開催された「ナースまつり2024」。来場者数は昨年の約3.7倍の2700名とのことで、注目度が年々高まっていることを実感しました。こうしたイベントに参加する醍醐味は、もちろん旬な情報を得られることもありますが、何より日々の業務から離れて、自分自身と向き合える時間が取れることだと思います。大会長を務めた西山妙子さんによると、すでに2025年の開催も決定しているとのこと! 来年はどんなナースまつりとなるのか、今からとっても楽しみです。今年参加できなかった看護師さんも、来年はぜひ参加してみてくださいね★
イベント名: | 「ナースまつり2024」 |
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開催日: | 2024年7月10日(水)・11日(木)・12日(金) |
場所: | 東京ビッグサイト 東6ホール(国際モダンホスピタルショウ会場内) |
公式HP: | https://nurselab.net/home |
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