長崎県病院企業団 長崎県対馬病院

左から
総務係 係長　廣澤 伸一さん
医療情報管理部 係長／院長秘書　里津 寿子さん
看護部長　福島 利恵さん
副看護部長　桐谷 美穂子さん
副看護部長／精神科認定看護師　熊本 良宏さん
（2024年6月時点）

国境の離島・対馬の中核病院として、島民の医療・看護・福祉を一手に支える長崎県対馬病院。開院以来抱えてきた看護師不足の問題を打開するため、2023年、同院では採用活動を看護部主導にシフトしました。その一環として「ナースまつり2023」の病院対抗のプレゼンテーションに参加。見事「日本一働きやすい病院アワード」を受賞しました。看護部主導の採用活動をどのように進めているのか、お話をうかがいました。

トップダウンから脱却し、看護部主導の人材確保を決意！

福島

当看護部は、地域の方々が島で生まれてから最期を迎えるまで寄り添う、継続看護を理念に掲げています。対馬の人口は約28,000人ですが、島には当院と遠方に小規模病院があるのみで、ほぼすべての島民の方の入院を当院で受け入れています。そのため幅広いニーズに対応できる「総合力」が看護師には求められます。

看護師の採用は、2015年の統合開院前からNPO団体「ジャパンハート」と提携し、短期派遣で働く応援ナースを定期的に受け入れてきました。ところが開院当初は十分だった看護師の数が離職などで年々減っていき、コロナが追い打ちとなって、人手不足で常に看護部が疲弊している状態が続いていました。

廣澤

応援ナースは、ジャパンハート以外の派遣会社からも毎年派遣いただいていましたが、その人数も開院当初は20名前後だったのが、数年前には6、７名まで落ち込んでいました。

福島

そこで4年前に立ち上がったのが、院長と事務部長、各技師長、看護師長による医療人材対策委員会です。それまで上層幹部で行っていた採用活動に、看護部も主体的に参加するようになりました。そして1年前より、ジャパンハートからの提案がきっかけで、看護部主導による広報活動を始めることを決心しました。昨年から、副看護部長2名が看護部広報委員会を担当しています。

▲看護部主導の採用活動を率いる福島看護部長

離島ナースの毎日をSNS発信！ 応援ナース採用への反響は

福島

1年間のプロジェクトとして昨年から始めたのが、Instagramを活用した広報活動です。近年、九州からも看護師を呼ぶことが厳しくなってきているのを受け、より広範囲に情報発信をするために始めました。他の離島での成功事例もよい後押しとなりました。

桐谷

ただ情報を発信するにも、仲間内でやるだけでは病院の魅力が十分に伝わらないため、看護部の広報委員会が先頭に立って、仕事や職場の様子を紹介する記事を集めていきました。それからだんだん部署内全体に動きが広まっていき、応援ナースの方たちからもネタを寄せていただくことが増えました。文章が得意な里津さんを中心に、今は毎日投稿しています。

▲「ナースまつり」でプレゼンを行った桐谷副看護部長

里津

当初の更新頻度の目標は3日に1回でしたが、頻度が高いほうが多くの方の目にとまる確率が上がるので、可能な限り毎日投稿することにしました。毎日投稿するのは正直大変ですが、続けていくうちに身近なところにさまざまなネタが転がっていることに気づきました。私は対馬出身なのですが、島外から来た看護師さんたちが自分も行ったことのないような場所に行っていて、たくさん写真を撮ってくれるんです。おかげで地元の人も気づかない島の情報や魅力を再発見することができました。

福島

地元職員も、最初のうちは地元の人に顔を見られるのを敬遠して、撮影を嫌がる人が多くいました。でもこれらの投稿がきっかけとなって見学希望者が増えているなど、効果をこまめに共有していくうちに、みんな協力してくれるようになりました。

里津

これまで島外の方から病院に直接問い合わせが来ることはほとんどありませんでしたが、Instagramを始めてから、月に1、2件来るようになったので、徐々に効果が出ていると実感しています。撮影に協力してくれる現場の職員からも、自分たちの日々の頑張りが外に発信されたことで「もっと頑張ろうと思った」という感想をもらえて、続けてきてよかったなと思います。

▲SNS投稿を担当する里津さん

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