「認定」の肩書を生かし、発信力を高めて前線に立つ
現在のお仕事で、認定介護福祉士の資格をどのように生かしていますか?
認定介護福祉士は、まだ約100名しかいません。だからこそ発信力が高く、この肩書を生かして前線に立つことができます。私も2022年9月に開催された「いきがい・助け合いサミットin 東京」で、認定介護福祉士として分科会に登壇させていただきました。
今後は、養成校を卒業したばかりの初々しい介護福祉士と、実践を重ねてきた30代、40代の橋渡し役も務めていきたいです。世代によって学んできたことも違えば、介護過程や介護実践の根拠に対する考え方も違います。そのギャップを埋めて、若い介護福祉士にとってより働きやすい環境をつくり、人財育成に力を入れていきたいです。
現場で働く介護福祉士が認定介護福祉士になることで、どんなメリットがあるのでしょうか。
実を言えば、まだその点が確立されていないんです。まだ知名度も低いため、まずは認定介護福祉士について広く知ってもらうことが重要だと考えています。とはいえ、地域包括ケアの推進、利用者のQOL向上など、認定介護福祉士がもたらす効果は確かにあります。ですから、地域における介護力の向上、他職種との連携など、幅広く活躍してもらえたらと思います。
各分野に特化した認定資格をつくり、本物のプロを育てたい
田中さんが、この資格を利用して挑戦したいことはありますか?
3つあります。ひとつは地域包括ケアにおいて、医療と同じ土俵に立てるよう介護職員の立場をもっと引き上げることです。例えばサービス担当者会議に出席しても、医師や看護師の意見で話が進むことが多く、なかなか発言の機会がありません。それではもったいないですよね。介護職者の知見を生かし、積極的に発信できるよう力添えできればと思っています。
ふたつめは、認定介護福祉士の社会的地位を確立することです。先ほどもお話ししたように、認定介護福祉士の資格を取得しても、今のところは大きなメリットがありません。私たちが認定資格を取ってから何を培ったのか、学会などでも発表していきたいと思います。
3つめは、3年後をめどに認定介護福祉士を束ねる組織をつくり、講師の派遣や教育システムの開発などを行うことです。認定介護福祉士が全国で活躍できる場をつくるとともに、将来的には認定看護師のように分野ごとに特化した認定資格をつくり、本物のプロフェッショナルを育成したいですね。
認定介護福祉士の資格取得を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
認定介護福祉士はもちろん、介護福祉士という資格も一般的にはあまり知られていません。介護福祉士の地位が認められないと給料も上がりませんし、環境整備もできません。そのため、今なお介護職は「3K」と言われてしまいます。でも、私たちの意識を変えれば、見せ方も変わるはず。そのための手段として、認定介護福祉士の資格を活用できるのではないでしょうか。自分自身のスキルアップはもちろん、この資格を取ることで介護福祉士全体の地位向上につなげていただければと思います。
写真:土岐節子