私たちの働き方改革

2023/5

専属スタッフが24時間365日電話に対応 訪問看護師のケアの手を止めない環境づくり

専属スタッフが24時間365日電話に対応 訪問看護師のケアの手を止めない環境づくり

月22時間あった時間外勤務時間が8.5時間に!

向山

このように電話対応専属部署を設置した結果、訪問先でケアをしている時に電話が鳴らず、看護に集中できるようになりました。以前は、排泄ケアを行う時などに「電話が鳴ったらどうしよう」という緊張感を常に抱えていました。また、電話がかかってくるたびに、まず電話を取るべきか、取らずにおくかという小さな選択を迫られていたのです。それすら、ケアの集中力を削ぐには十分な二択ですし、積み重なればストレスになります。もちろん、ケアの手を止めて電話に出れば、集中力は完全に途切れることになってしまいます。

ですが、電話対応専属部署が一次受けを担ってくれるようになったため、今では私の電話はほとんど鳴りません。コールバックが必要な電話のみ、「折り返し電話してください」というメッセージとともに相手の電話番号が送られてくるようになったのです。患者さんやご家族からも「電話が鳴らなくなったよね」「ケアが中断されることがなくなってよかった」という言葉をいただきます。

コールセンターの設置による業務効率化について検証したところ、看護師ひとりあたり、1日90分の業務時間を削減できたという結果も出ました。月平均22時間あった時間外勤務時間が月8.5時間まで削減され、1日あたりの訪問件数も増やせることに。柔軟な訪問スケジュールを組めるようになりました。

訪問看護ステーション トータルケア看護師・助産師の向山綾子さん▲看護師・助産師の向山さん

ライフスタイルを軸に働き方を選択し、看護の質が向上

向山

他にも、Le-caldoでは情報共有カンファレンスの廃止など、さまざまな働き方改革に取り組んでいます。私はもともと助産師として市中病院などで働いており、長年“仕事にライフスタイルを合わせる働き方”をしてきました。しかし、3人目の子どもを妊娠し、こうした働き方に限界を感じるようになったのです。病院勤務では夜勤がマストですし、保育園が閉まってしまう日曜・祝日も出勤せざるを得ません。シッターに子どもを預けることもありましたが、仕事を続けるためのコストと収入のバランスが取れなくなってしまいます。もはや「仕事にライフスタイルを合わせる」のではなく、「ライフスタイルに働き方を引き寄せる」しかありません。そこで、柔軟な働き方を求めてLe-caldoに転職したのです。

「自由に休みをもらいたい」という思いで入社しましたが、実際に働いてみると「仕事や子育てなどの生活時間を自分でデザインする」という印象を受けました。しかも、仕事に対する意識も変わり、自分の看護に対して責任を強く感じるようになりました。訪問看護は、病院のように1日に何度も患者さんと顔を合わせるわけではありません。しかも、訪問先へひとりでうかがい、ケアを行います。「1週間に一度しか訪問しないのだから、翌週まで患者さんが安全かつ快適に過ごせるようにしたい」と、患者さんの爪を切ったり、つまずかないよう室内の荷物を片づけたり、注意深く考えて看護を行うようになりました。

若松

今後は、こうした24時間365日対応する訪問看護ステーションのパッケージをフランチャイズ化し、全国に広げていきたいと考えています。独立開業したい看護師、地域に根差した社会貢献事業を検討している他業種の企業からは、すでに大きな反響をいただいています。自宅での看護を求める患者さんはもちろん、フルタイムで働きたい方、出産してトーンダウンした働き方を望む方、週1日の隙間時間で働きたい方など、看護師の幅広いニーズに応える勤務先として訪問看護の役割はますます重要になっていくのではないかと思います。

株式会社Le-caldo(リカルド)訪問看護ステーション トータルケアの皆さん

文:野本由起/写真:遠藤麻美

<参考データ>

*1 一般社団法人 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
*2 厚生労働省「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

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施設名株式会社Le-caldo 訪問看護ステーション トータルケア
住所〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町1-36-5
事業開始2015年
事業内容訪問看護ステーション「トータルケア」の運営、保育園・学童一体型施設 リカルドキッズガーデンの運営
ホームページhttps://lecaldo.co.jp

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