私たちの働き方改革

2023/12

看護学生を夜間看護助手として活用し、病院の大幅増収や看護師の負担軽減を実現

看護学生を夜間看護助手として活用し、病院の大幅増収や看護師の負担軽減を実現

学生の力も合わさり取り組みが活性化!
定期的な採用や業務範囲の拡大も実現

石垣

学生看護助手の数は当初より格段に増え、現在(※2023年11月時点)は89名が在籍しており、毎月1~2人のペースで看護学生を受け入れています。ここまで増えたのは、学生看護助手の皆さんが広報活動を手伝ってくれるようになったことも大きいですね。3、4年生が自主的に新1年生のもとに赴いて、看護助手の仕事をアピールしてくれるようになりました。

片倉

学生から「新入生がほかのアルバイトを決めちゃう前にアピールした方がいい」という意見をもらって、入学オリエンテーションを行うようにもなりました。オリエンテーションで流す動画も学生看護助手が作ってくれて、その成果もあってか1年生の応募も増えています。

石垣

学生看護助手の業務内容もトライアル時と比べるとどんどん増えています。大きな変化でいうと、担当以外の病棟に行ってもらうようになりました。

佐々木

当初は、学生看護助手を院内のあちらこちらに行かせることにやや抵抗があったため、担当病棟以外へは行けないようにしていました。しかし、夜勤の看護師は薬剤部に薬を取りに行ったり、検体を届けに行ったりなど病棟以外の場所に出向く業務も多いんです。こうした業務に対応していると、病棟にいられる看護師の数が減ってしまうため、学生看護助手を活用することを検討しました。学生は、教えたことはきちんと対応してくれますし、今では検体搬送や薬剤部からの注射薬・内服薬の搬送、ME機器搬送などの業務もお願いしています。始業の16時を過ぎると、院内のあちらこちらで学生看護助手の姿を見かけるようになりました。

患者さんがうつぶせ寝するときに使用する枕の作成もお願いしている▲患者さんがうつぶせ寝するときに使用する枕の作成もお願いしている

患者の心理面のケア、看護学生の将来など
多方面での効果を実感

佐々木

2021年にスタッフへのアンケートを実施した結果、96%が「学生看護助手が導入されてよかった」と回答し、92%が「看護師の業務負担の軽減になっている」と答えました。また、88%が「患者に安全な環境が提供できている」と回答しています。

片倉

患者さんの反応もすごくいいですよね。看護師と話ができないところを学生看護助手がたくさん話をしてくれて、心身面のケアにもつながっているなと感じます。患者さんからも「元気をもらった」「水色(学生看護助手のユニホーム色)の天使のおかげでとてもありがたかったです」といった声も届いています。

石垣

学生が自身の将来を考えるうえでも、よい刺激になっていると思います。担当以外の病棟に行くようになったことで、ほかの病棟の患者さんの様子を知る機会が増えたんですよね。新生児の病棟に行ってみて興味がわいたのか「将来は出産に関わる仕事を目指します」と話していた学生もいましたよ。

片倉

あくまでも看護助手として働いているので、看護の技術向上に直接的につながることは少ないかもしれません。ただ、看護師の仕事は、患者さんやスタッフとのコミュニケーションもすごく大切ですよね。アルバイトを通して、患者さんのご要望への対応や、日々の会話や声がけが自然にできるようになっていくのだと思います。実習のとき、患者さんへの接遇面においてはアルバイト経験の有無で、顕著に差が現れていると感じます。

佐々木

夜間急性期看護補助体制加算100対1と夜間看護補助体制加算も獲得でき、病院の大幅増収にもつながりました。看護部として病院経営に大きく貢献できたと思います。

注射薬剤カートの搬送作業を行う学生看護助手▲注射薬剤カートの搬送作業を行う学生看護助手

タスクシフトによる看護師の意識改革も
安定的な運営で見えてきた課題とこれから

佐々木

2021年には、学生看護助手と日勤の看護助手の業務基準や研修内容を同じにし、業務管理の統合も実現しました。これにより、日勤の看護助手の業務を夜間の学生看護助手が引き継げるようになり、日勤の看護助手の業務改善にもつながっています。

毎年取り組みは進歩していますが、今でも課題は山積みです。特に、運用が安定してきたからこそ表面化した課題が、看護師が環境整備や患者さんの見守りなどを「看護助手の仕事」として認識している傾向があることです。しかし本来は、看護師がすべて対応すべきところを、看護助手に指示を出して業務委譲している、看護助手にタスクシフト・タスクシェアをしています。その認識が薄れているように思うのです。「看護」とはどのような仕事なのか、今一度考えてもらわないといけないなと感じています。

今後も、看護師の業務負担軽減や、安全・安心な看護の提供、そして看護学生の未来につながる運用を目指し、常にアップデートし続けたいと思います。

写真:遠藤 麻美

1 2
施設名:国立大学法人 東北大学 東北大学病院
住所:〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1番1号
創業:1913年
病床数:1,160床
診療科:総合診療科、循環器内科、総合感染症科、腎臓・高血圧内科、血液内科、リウマチ膠原病内科、糖尿病代謝・内分泌内科、消化器内科、加齢・老年病科、漢方内科、心療内科、呼吸器内科、腫瘍内科、総合外科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、麻酔科、緩和医療科、呼吸器外科、救急科、婦人科、産科、泌尿器科、脳神経内科、精神科、脳神経外科、小児科、遺伝科、小児腫瘍科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉・頭頸部外科、てんかん科、リハビリテーション科、高次脳機能障害科、放射線治療科、放射線診断科、小児歯科、矯正歯科、口腔支持療法科、顎口腔画像診断科、歯科顎口頭外科、歯科麻酔疼痛管理課、歯内療法科、咬合修復科、咬合回復科、歯周病科、口腔機能回復科
※「2023年東北大学病院案内」より抜粋

SNSでシェアする