専属スタッフが24時間365日電話に対応 訪問看護師のケアの手を止めない環境づくり
2023/5/26
私たちの働き方改革
2026/5

INDEX
若松
この仕組みをつくった背景には、以前勤務していた大学病院での経験があります。私が配属された病棟では、休みの希望を出せるのは月に一度だけ。師長さんは限られた条件の中で勤務を調整しようと、膨大な時間と労力をかけてシフトをつくっていましたが、多くのスタッフがそのシフトに不満を抱いている状況でした。
人は無意識に誰かに管理された世界で生きています。なおかつ管理される心地よさに浸かっていることに気づかないまま、不平や不満を抱き続けている。この構造は健全ではないと思いました。本来ならば自分の生き方や働き方こそ主体性をもって決めるべきではないか――。そんな思いから、トータルケアでは誰かに決められる働き方ではなく、自分で働き方を選ぶ仕組みを採用しました。勤務日も、休む日も、急な募集に対応するかも、すべて自分で決める。そしてその判断に責任をもつ。自分で決めると不平や不満を言う相手もいなくなるんですよね。
辻川
多くの看護師が、管理されている中で働くことを当たり前だと考えていると思います。私も、入社当初は本当に戸惑いました。出勤は何時なのか、いつ退社したらよいのか若松さんに確認して、そのたびに「自分で決めるんだよ」と返されました(笑)。トータルケアで働き始めてから、思っていた以上に自分の人生を自分で決めていなかったことに気がついたんです。今は、自分の人生・働き方は自分でつくっていると実感しています。
▲現場の管理者を統括する辻川さん。「トータルケアに入社してから能動的に仕事に取り組めるようになった」と語る
向山
よく「なぜ自由な働き方を実現できるのか」と質問をいただきます。理由のひとつは、患者さんが訪問看護を希望する時間帯と、看護師が働きたい時間帯がマッチしているからです。
トータルケアには子育て中の看護師が多く在籍しており、平日の日中に働きたい方が多いんです。同じように患者さんからも、生活リズムに合わせて平日の日中に希望が集中する傾向があります。もちろん早朝や夜間の希望もありますが、それを見越しても過度なシフト調整をする必要はなく、無理なく運営することができます。
若松
この仕組みを実現させる大前提は、経営者や管理者層がスタッフを信じることだと思います。管理で縛らなくても、信頼があれば組織は機能していけるのです。
ただ、もちろん管理側が信じるだけでは自由な働き方を成り立たせることは難しいと思います。私たちが考える自由とは、単に好きな日に休めることや、自分の都合だけを優先できることではありません。自由を行使している裏側には、自分のために働いている人がいること。自由を受け取るだけでなく、次は誰かの自由を守るために自分が働くというフェアな精神を企業文化として育て浸透させてきたことが、自由な働き方の実現につながっているのだと思います。
▲株式会社Le-caldoの創設者であり代表取締役の若松さん。「新たな取り組みに挑戦する時、実現できないと思ったら、一生できない。実現したいと思うのであれば、どうすればいいかを考える。どうにかするしかないんです」と語った
津端
トータルケアに入ってから休みを取る時の考え方が変わったと思います。以前はボクシングの合宿で2週間ほど休むことに対して、他の看護師に申し訳ない気持ちがありました。今では申し訳なさではなく、感謝の気持ちで休みを取ることができています。
若松
「すみません」ではなく、「ありがとう」で休める方が絶対に健全ですよね。こうしたマインドの持ち方は組織文化としても根付かせたいので、休みを伝える際に「申し訳ありません」という言葉が入ると訂正してもらうこともあります(笑)。
また、フェアな精神を養うという面にもつながりますが、休む理由は一切聞きません。子どもが熱を出したから休む人も、彼氏とのデートで休む人も、「休む事実」は変わりませんよね。どんな理由であろうと好きに休みを取れる仕組みにすることで、不要な利害関係や軋轢を生まないようにしています。
▲かつては自分の心が空っぽのまま患者さんに笑顔で接し、少しずつ疲弊していく感覚があったという津端さん。「まずは自分の心を満たすことが、結果としてよりよい看護につながると実感しています」
向山
私たちは、本気でトータルケアの理念や働き方が全国に広がってほしいと考えています。人生で多くの割合を占める仕事の時間を自分でコントロールできるようになれば、人生の主人公は自分であると気づくことができると思うんです。また、栗原さんや津端さんのように、より充実した人生を送ることができるはず。そんな看護師さんをもっともっと増やしていくべく、フランチャイズ事業の拡大にも力を入れながら、多くの地域へこの仕組みを届けていきたいです
若松
看護師という仕事には、どこか窮屈なイメージがつきまといます。「こうあるべき」「こう働くべき」という見えない規範に、自分自身を縛ってしまっている人も少なくないのではないでしょうか。しかし、本来は看護師だってもっと自由に、自分らしく生きていいはずです。もしかしたら、必要以上のルールを自分に課してしまっているだけなのかもしれません。
自分のことを後回しにしながら、人を支え続けるには限界があります。まずは看護師自身が幸せであること。そして看護師一人ひとりがいきいきと働き、人生そのものを大切にできること。そんなハッピーで、自分軸で生きられる看護師が増えていくことが、結果として患者さんや社会へのより大きな貢献につながっていくのだと、私は信じています。

撮影:戸井田 夏子
写真提供:株式会社Le-caldo 訪問看護ステーション トータルケア
▼栗原さんYouTubeチャンネル(YouTubeに飛びます)
jtripnsx
▼栗原さんInstagram(Instagramに飛びます)
https://www.instagram.com/jtripnsx?igsh=dmk1bGRmbW12em5r&utm_source=qr
▼日本看護協会が主催する「看護業務の効率化 先進事例アワード 2022」で最優秀賞を受賞したトータルケアの取り組みもチェック!
専属スタッフが24時間365日電話に対応 訪問看護師のケアの手を止めない環境づくり
| 施設名: | 株式会社Le-caldo 訪問看護ステーション トータルケア |
|---|---|
| 住所: | 〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町1-36-5 |
| 事業開始: | 2015年 |
| 事業内容: | 訪問看護ステーション「トータルケア」の運営 |
| ホームページ: | https://lecaldo.co.jp |
SNSでシェアする