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2024/7

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

たったの4ステップ! 「シャボンラッピング」を使ったお手軽フットケア

ひととおり道具を揃えたら、さっそくフットケアを始めてみましょう。足をさっぱりと清潔に、そして爪のトラブルを解決すると、患者さんや利用者さんに喜んでいただけます!

1. 洗う

●手軽に足浴できる「シャボンラッピング」で、足を洗います。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

・ポリ袋の中に、やや熱めの6070度くらいのお湯を注ぎます。
・泡立てボールとソープを57㏄ほど入れて、ポリ袋の口を絞ります。
・ポリ袋の外から泡立てボールをわしゃわしゃともみ込んで、きめ細やかな泡をつくります。

【シャボンラッピングのメリット】
・泡で包み込むようにして足を洗える
・少量のお湯のみを使う(ほぼ、水を使わない)
・大きなバケツなどにお湯をくむ必要がない
・水や泡が飛び散らず、場所を選ばない
・身体可動域制限のある方でも負担が少なく済む

ポイント
泡をつくっているうちにお湯の温度は下がってくるので、温度は少し熱め(60~70度)に。お湯が少し冷めてきた場合は、ポリ袋ごと電子レンジで10秒ほど温めると、あたたかさを感じてもらえます。
注)暑すぎると火傷の原因になるので足を入れる前に必ず温度を確かめましょう。


●ポリ袋に足を入れたらバンドで留めて、ポリ袋の上から泡で包み込むように洗います。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

・ゴムバンドでポリ袋の口を留めて、両手がフリーになるようにします。(①②)
・直接肌に触れずに、ポリ袋の外側から泡を利用しながら洗っていきます。(③)
・長く洗うと皮膚がふやけて傷口などに差し障るので、短時間で十分です。
・強く洗わなくてもきれいになります。


●ポリ袋で足の泡をしごき取ってから、少量のお湯で流します。

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・ポリ袋を使いながら泡をぬぐい取ります。(①②)
・ペットボトルに入れたお湯を使いながら、洗い流します。(③)
・お湯や泡を、タオルでぬぐい取ります。指の間もしっかり拭きます。(④)

ポイント
泡でいっぱいのポリ袋は、時間を置くことで泡が減って液状になります。その状態で袋の隅を切り、排水溝に水を直接流し込むのがおすすめです。泡のある状態で捨てると、排水溝が泡だらけになって大変です。


2. 爪を切る

●足を椅子にのせて高さを出し、爪だけをエタノールで消毒します。

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・高さを出してケアしやすいように、足を椅子にのせてもらいます。

ポイント
ケアするご自身の腰を痛めないようにするのが目的です。安全にケアするためにも、無理な体制にならないことが重要。おへそから胸の高さが目安です。


●指と指を離して、ゾンデで皮膚と爪の境目を確認しながら、溜まった角質を取ります。

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・爪を切る前に、ゾンデで皮膚と爪の境目を確認します。
・ゾンデを使いながら、爪の端に溜まったホコリや衣類の繊維を取ります。
・巻き爪がある場合は、爪がどこまで巻いているかを確認します。
・爪の端に切り残しがあると伸びた時に化膿の原因になるため、状態を確認します。


●ニッパーや爪切りを使って、爪を切ります。

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[ニッパー]
・道具を持っていない逆の手で、他の指の皮膚を軽く引っ張り、切る指から離します。
・刃先の感覚を調整できるように先の方を持ち、安定させます。
・刃先のまっすぐな面を爪に向けて、2~3mmずつ切ります。

[爪切り]
・ニッパーと同じように、2~3mmずつ切ります。

ポイント
爪の長さや痛みなどを確認しながら、親指ではない爪から切っていきましょう。親指は爪が硬いことや厚いことが多いため、いきなり親指から切ろうとすると不安になる方もいます。いくつかの指の爪を切ってからだと、お互いに感覚がつかめて信頼や安心が得られやすいです。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

ニッパーや爪切りを使うときは、誤って肉を挟み込まないように気をつけます。ゾンデで爪が皮膚と離れていることが確認できたら、切ってよい部分に、爪の下側にあてる方の刃を皮膚の方に固定します。その後、上刃だけを動かして切ることが鉄則です。


3. 角質を取る

●足を少し濡らしてから、レデューサーで角質を取っていきます。

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・アルコール綿や霧吹きに入れた水などで、少し足を濡らします。
・角質を削る場合、皮膚を少し伸ばしながら、厚みがしっかりと押し出されるように調整します。
・しっかりと足を固定して、レデューサーを軽く当てたらすーっと削ります。
・数回削ったら、角質の厚さを必ず確認します。

ポイント
硬くなっている角質以外の部分を削ると痛みが生じる場合があります。そのため硬い部分がしっかりと押し出されるように、相手の体勢を整えましょう。
初めに粗めの面を使用して削り、最後に細かい面で整えます。力をいっぱい入れたからよく削れるわけではないため、力の入れ加減に注意しましょう。元の角質の厚さを半分より多く削っても、厚くなる期間はそこまで変わりません。削りすぎると歩行に影響するため、半分くらいを目安にしましょう。皮紋(皮膚の紋)に合わせて素直に削ると、皮膚が毛羽立ちません。削ったカスを拭き取って終了です。


4. クリームやオイルで保湿する

●仕上げに、爪をクリームやオイルで保湿します。

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・クリームは、足の皮紋に対して平行(横向き)に塗ります。全身用クリームなどで問題ありません。
・オイルは爪の根元に付けて、軽くクルクルとマッサージしたら爪の先へと伸ばします。マッサージ用などの純度の高いものを選びましょう。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

・「濡れた感じが気になる」と言われた時は、足を軽く拭き取ります。
・濡れタオルを使って拭いてもOKです。

いつまでも元気に歩き続けてもらうために。今日から始められるフットケアの方法

・時間的に余裕がある時はマッサージをします。
・角質を取った部分は、手のひらを包み込むようにしてあたためます。

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ご存じですか? 足について遊びながら学べる「足人(あしんちゅ)かるた」

木嶋先生がお住まいの群馬県には、「上毛かるた」を始めとした“かるた文化”が根付いています。

フットケアに取り組む医療従事者が集って2019年秋に結成されたぐんま足人の会では、「かるた」のクラウドファンディングにチャレンジして大成功を収めたそうです。
そして完成したのが、医療従事者の専門性が生かされた、足について遊びながら学べる「足人(あしんちゅ)かるた」。ぜひお手に取ってみませんか?


詳しくは「足人かるた」の紹介サイトをご覧ください!




<写真上>足人かるたのパッケージ。

<写真中央>絵札と読み札。読み札の裏に写真左側のような解説があります。

<写真左>学会の地方会でブース出展した際の様子。


木嶋千枝さん
足育実践フォーラムAbeby代表、群馬大学臨床教授
群馬大学病院・済生会前橋病院・伊勢崎市民病院に勤務し、2011年群馬大学博士前期課程(保健学)修了。2012年に日本看護協会慢性疾患看護専門看護師資格を取得。子どもと大人の足や靴を通した健康支援や啓発を提供するためにAbebyを起業し、2022年から群馬県渋川市で足育実践フォーラムAbeby(サロン)を開業、高齢者施設のフットケア委託も請け負う。その傍ら、群馬大学臨床教授、高崎市医師会看護学校非常勤講師を兼務する。
足育実践フォーラムAbeby

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