看護職のウェルビーイングを叶える働き方とは?
「【リレートーク】看護職のウェルビーイングと看護の質向上を叶える働き方とは」では、5名の登壇者が各施設での取り組みやウェルビーイングへの考えを語りました。今回は特に印象的だった2名のお話をご紹介します。
●現場の小さな実践が、ウェルビーイングを叶える
文京学院大学大学院 福祉医療マネジメント研究科 特任教授 松下氏は「組織行動の科学から見た、いきいきと働くチームの条件」をテーマにトーク。
「看護師の働きがいを最も左右するのは、『働き方』の質。その中核には協調的なリーダーシップ、職場のソーシャル・キャピタル(信頼と絆)、多職種連携、心理的安全性等の組織行動の要素があります。
ウェルビーイングは、現場の小さな実践によって叶えられます。おすすめは雑談をすること。コロナ禍で雑談が激減してしまいましたが、まずは同僚や同じチームの人と、対話を重ねることから始めてみてください。ウェルビーイングは結果ではなく、働き方そのものなのです」(松下氏)
松下氏によると、ウェルビーイングレベルが高い看護師は効率的なケアを実現できているといいます。研究では、レベルの高さで、平均在院日数や病床回転率が変化したという結果も出ているそうです。
▲「ウェルビーイングを職場全体で高めるために、看護職だけでなく多職種を巻き込んだ、会話をたくさんできるようなプロジェクト型のワークショップもおすすめです」と松下氏。
●個人のウェルビーイングの達成が、組織、地域のウェルビーイングに
新潟県厚生連 佐渡総合病院 病院長 佐藤氏が語ったのは「看護職における事故から地域のウェルビーイングに向けて:病院の役割と佐渡の取り組み」です。特に印象的だったのは、「ウェルビーイング」への考え方。
「まず必要なことは、職員一人ひとりに自身にとってのウェルビーイングをしっかりと自覚させることです。そこから、患者、チーム、部署、地域のウェルビーイングへと視点を広げていく。組織の役割は、理念の明示と所属職員が価値観を醸成するための環境の整備と支援であって、価値観の植え付けではありません」(佐藤氏)
看護師一人ひとりがウェルビーイングを叶えられていることが、患者さん、そして地域のウェルビーイングにつながっていく。こうした考えのもと、佐渡総合病院では、職員がいつでも相談できる「こころの保健室」の設置や、看護師の業務量の定量化等に取り組んでいます。
▲「昨今は受動的な思考に陥っている職員が多い。ウェルビーイングは能動的な職員に育てるところから」(佐藤氏)
リレートークでは、「私たちの働き方改革」で取材した、24時間365日対応の訪問看護ステーショントータルケアを運営する、株式会社Le-caldo 代表取締役の若松氏も登壇されました。「働き方自由自在」というコンセプトのもと、看護師自身が自由にシフトや休暇を決めることができ、ライフスタイルに応じた働き方を実現させている若松さん。「看護師の皆さんには、職業や現状を理由に自分の夢や希望をあきらめるのではなく、『どうしたら実現できるか』を考えてほしい」と熱く呼びかける姿がとても素敵でした!
株式会社Le-caldoの看護師の働き方改革を取材した記事はこちらから
>専属スタッフが24時間365日電話に対応 訪問看護師のケアの手を止めない環境づくり
ウェルビーイングは、看護職一人ひとりの力で叶えるもの
最後に、秋山会長から看護職の働き方に関するスローガンが発表されました。
Be Well, Work Well, Nurse Well
スローガンを日本語に訳すと、「みんなでつくる、看護職のウェルビーイング」。すべての看護職が一丸となり、ウェルビーイング時代の新しい働き方を切り拓くという願いがこめられています。
日本の政策、海外の看護職事情、そして実際の日本の看護の現場というさまざまな視点から、「看護職のウェルビーイング」について考えを深められるプログラムでした。参加者は40~50代前後の年齢層の方々が多く見受けられましたが、前回のサミットと比べると学生のような若者の姿も散見されました。
プログラムを通して感じたことは、「ウェルビーイングは組織がつくるものではなく、看護職一人ひとりがつくるもの」だということ。自身にとっての理想の働き方とは? 理想の職場とは? 自身の幸せとは? 叶えたいことは? あなたのウェルビーイングの実現が、患者さんや組織、地域のウェルビーイングにもきっとつながっていくはずです。Nursing-plaza.com編集部でも、今年は「看護師のウェルビーイング」や「看護師の定着」につながる情報を発信できるよう、企画を立てていきたいと思います!
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▲会場となったパシフィコ横浜国立大ホールからの景色。当日は快晴で、穏やかな横浜の海を楽しむことができました