資格のチカラ

2022/12

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、認知症ケアに関する高い知識や技能、倫理観をもった専門技術士の養成と、日本の認知症ケア技術の向上、保健・福祉への貢献を目的に生まれた資格です。更新制の資格で、認定後は生涯学習が義務づけられています。

合格が学びの始まり! 認知症ケア専門士の歩む道

あしたかケアステーション
シルバーヴィラ向山
資格取得年月:2021年5月

介護福祉士

ひわたり かい樋渡 火生

認知症ケア専門士は、認知症患者さんの特徴やサポートの仕方、薬物療法、社会福祉制度など、認知症に関するさまざまな知識をもっています。介護福祉士として働く樋渡火生さんに資格を取ったきっかけや認知症ケア専門士の魅力、今後チャレンジしたいことについてお話をうかがいました。

認知症患者さんが心から安心できるケアができるように

資格を取って何か変わったことはありましたか?

これまで当たり前のようにやっていたケアに“知識”が加わりました。中でも「認知症の医学的特徴」「認知症の人の心理的特徴」「認知症の人との認知症の行動・心理症状(BPSD)とそのケア」などは仕事中によく思い出します。例えば、認知症のご入居者が何かに対して怒っている時、これまでは落ち着かせることに精一杯になっていました。でも心理学の勉強で「なぜ怒っているのか」というそもそもの部分を理解する大切さを知ったため、今はまず「何に不満を感じているのか」を理解し、解決してあげられるような対応を心がけています。

また、同じアルツハイマー型認知症でも、人によって「してほしい」と感じることは違います。人間らしさを尊重するケア技法「ユマニチュード」の一つに「触れる」ケアがありますが、触れることで安心できるご入居者が多い一方、あまりよい気持ちにはならないご入居者もいます。他にも、理解する能力や伝える能力が低下している認知症患者さんと会話をするためには言葉だけでは難しく、表情や、声のトーン、身振り手振り(ボディランゲージ)でも伝えなくてはならないため、とてもケアが難しいんです。でも幅広い知識や技法を学んだことで、一人ひとりに寄り添ったケアを考えられるようになったと思います。

樋渡さんの気持ちの面で何か変化はありましたか?

介護は人対人なので、ケアをする側の不安や焦りはご入居者にも伝わってしまいます。知識をもとに自信をもって対応できるからこそ、ご入居者にも余計なストレスをかけることが少なくなったと感じます。

業務がスムーズになった場面はありますか?

医師や看護師と連携しながらケアすることもあるのですが、その時のやり取りがとてもスムーズになりました。認知症患者さんが体調を崩したり、気持ちが不安定になったりした時、これまでは介護的な知識のみで「こんな変化がありました」と伝えるだけだったのですが、薬学や医学などの知識もある今は「認知症の薬の副作用や飲み合わせの問題かもしれない」「持病が原因かもしれない」などと、医学的な知識をもとに根拠を示しながら提言できるようになりました。

認知症ケア専門士は合格がゴールではない!

認知症ケア専門士の魅力はどんなところですか?

合格がゴールではないところが一番の魅力です。認知症ケア専門士は「更新制」なので、試験に合格したら、次はさまざまな講座に参加して5年で30単位以上を取らなくてはなりません。介護保険法施行規則の内容や正しい移乗介助の方法など介護の常識はどんどん変わるため、去年はよしとされていた制度・技術が今年はNGなんてこともざらにあります。新しい知識をインプットし続けられるのは、介護士として大きな強みになると思います。

これまで、どんな講座に参加しましたか?

最近、地域共生社会の講座に参加してきました。認知症患者さんだけの話ではないですが、ケアが必要な方を地域全体でサポートする大切さや、自分がその一部を担っていることを改めて感じました。さまざまな見守りシステムがあることも知り、ITの力で介護の現場が変わっていくんだろうなとワクワクしました。ちなみに30単位という条件をクリアするには、たとえ自分の興味が薄い講座であっても受けなくてはなりません。僕は医療分野の情報にうといので、認知症ケア専門士の講座が視野を広げるよい機会にもなっています。

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1日のスケジュール

7:30起床介助ご入居者とその日初めて顔をあわすタイミングのため、とても大切な時間です。体温測定や会話などで体調を確認します。
9:00朝食食事の様子からも、その日のご入居者の体調を確認します。
9:30朝礼前日の夜から朝までに起こったことなど、必要な情報をスタッフ間で共有します。
10:00排泄介助、水分補給、散歩などご入居者の身体の状態にあわせて必要な介助を行うため、ケアの内容は毎日変化します。
11:30昼食
13:30排泄介助 水分補給、散歩、居室掃除などご入居者のケアに加えて、掃除や備品の補充などを行います。
16:30夕食
17:00就寝介助服薬、口腔、排泄、更衣、入床の介助などを行います。介助を終えたら、日中のご入居者の様子を夜勤スタッフに伝えます。
18:00勤務終了

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名:一般社団法人日本認知症ケア学会
資格種類:一般社団法人日本認知症ケア学会 民間資格
受験資格:認知症ケアに関連する施設、団体、機関等において試験実施年の3月31日より遡り、過去10年間において3年以上の認知症ケアの実務経験を有する者
ホームページ:認知症ケア専門士認定試験 制度の流れ

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