資格のチカラ

2022/12

認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として2015年12月から認証・認定を開始した民間資格です。居宅・施設系サービスを問わず、多様なご利用者、生活環境、サービス提供形態に対応し、より質の高い介護実践や介護サービスマネジメント、介護と医療の連携強化、地域包括ケア等を行うスペシャリストとして、注目度が高まっています。

全国にわずか100名! 介護職の最上位資格・認定介護福祉士への挑戦

株式会社フォレスト 代表取締役
群馬県介護福祉士会 常任理事
資格取得年月:2022年10月

介護福祉士・介護支援専門員・准看護師

田中 栄

認定介護福祉士は、介護の現場で培ってきた経験と知識を生かし、ご利用者や職場、地域などと広く関わりながら支援する使命を担っています。介護福祉士の上位資格ながら知名度がまだまだ不足していることや、600時間に及ぶ研修が必要である厳しさもあり、登録者はわずか100名程度(2022年時点)。それでも多くの介護福祉士がキャリアアップを目指し、難しい条件をクリアしようと努力しています。介護施設を運営するかたわら、認定介護福祉士の資格を取得した田中栄さんに、資格取得の経緯、資格を生かした活動についてお話をうかがいました。

「認定」の肩書を生かし、発信力を高めて前線に立つ

現在のお仕事で、認定介護福祉士の資格をどのように生かしていますか?

認定介護福祉士は、まだ約100名しかいません。だからこそ発信力が高く、この肩書を生かして前線に立つことができます。私も20229月に開催された「いきがい・助け合いサミットin 東京」で、認定介護福祉士として分科会に登壇させていただきました。

その発信力をどのように生かしていきたいですか?

今後は、養成校を卒業したばかりの初々しい介護福祉士と、実践を重ねてきた30代40代の橋渡し役も務めていきたいです。世代によって学んできたことも違えば、介護過程や介護実践の根拠に対する考え方も違います。そのギャップを埋めて、若い介護福祉士にとってより働きやすい環境をつくり、人財育成に力を入れていきたいです。

現場で働く介護福祉士が認定介護福祉士になることで、どんなメリットがあるのでしょうか。

実を言えば、まだその点が確立されていないんです。まだ知名度も低いため、まずは認定介護福祉士について広く知ってもらうことが重要だと考えています。とはいえ、地域包括ケアの推進、利用者のQOL向上など、認定介護福祉士がもたらす効果は確かにあります。ですから、地域における介護力の向上、他職種との連携など、幅広く活躍してもらえたらと思います。

各分野に特化した認定資格をつくり、本物のプロを育てたい

田中さんが、この資格を利用して挑戦したいことはありますか?

3つあります。ひとつは地域包括ケアにおいて、医療と同じ土俵に立てるよう介護職員の立場をもっと引き上げることです。例えばサービス担当者会議に出席しても、医師や看護師の意見で話が進むことが多く、なかなか発言の機会がありません。それではもったいないですよね。介護職者の知見を生かし、積極的に発信できるよう力添えできればと思っています。
 
ふたつめは、認定介護福祉士の社会的地位を確立することです。先ほどもお話ししたように、認定介護福祉士の資格を取得しても、今のところは大きなメリットがありません。私たちが認定資格を取ってから何を培ったのか、学会などでも発表していきたいと思います。
 
3つめは、3年後をめどに認定介護福祉士を束ねる組織をつくり、講師の派遣や教育システムの開発などを行うことです。認定介護福祉士が全国で活躍できる場をつくるとともに、将来的には認定看護師のように分野ごとに特化した認定資格をつくり、本物のプロフェッショナルを育成したいですね。

認定介護福祉士の資格取得を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

認定介護福祉士はもちろん、介護福祉士という資格も一般的にはあまり知られていません。介護福祉士の地位が認められないと給料も上がりませんし、環境整備もできません。そのため、今なお介護職は「3K」と言われてしまいます。でも、私たちの意識を変えれば、見せ方も変わるはず。そのための手段として、認定介護福祉士の資格を活用できるのではないでしょうか。自分自身のスキルアップはもちろん、この資格を取ることで介護福祉士全体の地位向上につなげていただければと思います。

写真:土岐節子

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移動中は電子書籍の端末を活用して読書

「時間や場所を問わず読書できるよう、本はKindleで購入しています。講師が講義中に勧めてくれた本、文章作成のハウツー本、ファシリテーション力を身につけるための本など、興味のある書籍を次々に読んでいます」(田中さん)

◆田中さんのおすすめ本◆
・『ハーバードで学んだ 逆境の脳科学』著:川崎 康彦 出版:青春出版社
・『成果を生み出す思考習慣』 著: 坂本 健 出版:Next Publishing Authors Press
・『論文・レポートの基本』 著:石黒 圭 出版:日本実業出版社

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名:一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構
資格種類:一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構 民間資格
受講要件:次の1~4の項目をすべて満たしたうえで、認定介護福祉士養成研修を受講し、全科目(22科目)を修了(単位取得)する必要がある。
1. 介護福祉士の資格を有していること。
2. 介護福祉士資格取得後の実務経験5年以上。
3. 介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴を有していること。
4. 研修実施団体の課すレポート課題または受講試験において一定の水準の成績を修めていること(免除の場合有)。
ホームページ:認定介護福祉士認証・認定機構 認定介護福祉士になるには

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