私たちの働き方改革

2022/9

介護職の専門性をアピールし、処遇改善や人材不足解消につなげたい

介護職の専門性をアピールし、処遇改善や人材不足解消につなげたい

介護職の働き方改革を推進するために 重視すべき3つの視点

 こうした現状を解決し、働き方改革を進めるには以下の視点が重要だと考えます。

  • チームリーダーの資質向上

 介護福祉の専門職である介護福祉士は、チームリーダーを担う立場です。チームメンバーの指導・育成、他職種との連携、ケアのマネジメントを行う重要なポジションなので、資質向上のための研修をしっかり行うべきだと考えています。

 中でも最近は、多職種連携が重視されています。認知症の方、病気が重篤化している超高齢者、介護施設や自宅で治療を行う末期がんの高齢者などの中には、自分の意思を表現するのが難しい方もおられます。体温や血圧などのほかに、顔色が悪い、食欲がないといった数値化できない変化を読み取り、医療やリハビリ職員との連携を図るのもチームリーダーの役割です。また、経済的な課題については社会福祉士等と連携を取る場合もあります。こうした資質を高め、スムーズな連携を促すことも、介護福祉士の働き方改革の一環と言えるでしょう。

  • 機能分化

 介護業界の人材不足を解消するため、現在、介護職の機能分化が進んでいます。これは、介護現場の役割を分担し、さまざまな人たちがチームを組んで働くという考え方です。専門性の高いケアは介護福祉士といった専門性が担保された有資格者が担う必要がありますが、業務によっては、専門的な知識や技術がなくともできる業務もございます。アクティブシニアや子育て世代の方など、短時間なら働けるという方に現場を支えてもらうためにも、機能分化が必要です。

  • 生産性の向上

 少ない人数で現場を回すには、無駄を省き、生産性を向上させることが大切です。その施策として挙げられるのが、デジタルテクノロジーの導入です。ただし、導入にコストがかかるため、法人や事業所によって温度差があります。介護ロボットを取り入れている事業所もある一方で、記録システムの導入から検討しているという事業所もございます。そこを標準化できれば、現場の負担も多少減るのではないかと思います。

 ただし、使ってみないことには導入が進まないのも事実です。私が勤めていた事業所では、ご利用者をベッドから車椅子に移乗させるための機器を試験的に導入したことがありました。当初は「ふたりがかりで移乗したほうが早い」と言っていた職員も、実際に使ってみると「安全性が高い」「時間もそれほどかからない」「他のスタッフを呼ばなくていい」と利便性を理解し、正式な導入が決まりました。やはり自分たちの力や技術を過信しすぎると、テクノロジーへの抵抗感が生じます。ご利用者への利益のほか、職員の負担軽減、効率性などを多角的に検証し、抵抗感を払拭すれば機器の導入も進むのではないかと思います。

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認定介護福祉士を目指そう

キャリアアップの新たな道

日本介護福祉士会では、介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士の育成に取り組んでいます。認定介護福祉士に関する詳細はこちらからご確認ください。

団体名公益社団法人 日本介護福祉士会
住所〒112-0004 東京都文京区後楽1丁目1番13号 小野水道橋ビル5階
設立1994年2月
目的介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与すること

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