私たちの働き方改革

2022/9

介護職の専門性をアピールし、処遇改善や人材不足解消につなげたい

介護職の専門性をアピールし、処遇改善や人材不足解消につなげたい

介護職は高度な専門職 自信をもってアピールを

 私は30年前まで、職を転々としてきました。しかし、介護の仕事を始めてからはこの道ひと筋です。誠意をもってご利用者に接すれば、相手の表情が目に見えて変わっていく。おむつ交換の時に「ここ、痛くないですか?」と声をかけることでご利用者とのつながりが深くなる。そんな変化を体感しましたし、ご利用者の「ありがとう」という言葉に私自身も癒されてきました。現在も訪問介護に従事し、やりがいの大きさを日々感じています。

 にもかかわらず、介護職は長年「3K(きつい、汚い、危険)」と言われてきました。今は、その専門性が認められ、介護職員等特定処遇改善加算により平均給与額が増加していますが、処遇についてはまだまだ改善の余地があります。日本介護福祉士会もしっかりと国に働きかけ、「私たちは専門性をもったケアを担っている」と訴え続けなければいけないと思っています。

 また、現場で介護に携わっている方々にも、もっと自信をもっていただきたいと思います。介護職には控えめな方が多いですが、皆さんが従事しているのは高度な専門職です。ご利用者の体調を日々アセスメントし、状況に合わせてケアの仕方を変えている。ご利用者の要望に合わせて仕事をしている。そんな高度なケアを日々行っているのに、それを表現できていないのはもったいなく感じます。日本介護福祉士会でも介護職の魅力を発信していますが、現場の職員が自身の専門性をしっかり表現できれば、介護職の評価もさらに高まるのではないかと思います。

地域包括ケアに携わる、介護福祉士の新たなキャリアパス

 最後に、介護福祉士の皆さんにふたつのメッセージを送りたいと思います。

 ひとつは、介護過程の展開をしっかり実践してほしいということ。介護福祉士がケアを行う際には、まずご利用者の情報を集めて課題やニーズをアセスメントします。そして、一人ひとりに適した個別介護計画を立案し、介護を実施していきます。日々の介護においても、こうした個別介護計画に基づき、ケアを提供いただきたいと思います。それこそが介護福祉士の専門性ですし、皆さんが行う介護には根拠があり、アセスメントの元で実践していることをぜひ声にしてほしいと願っています。

 もうひとつは、認定介護福祉士を目指してほしいということ。介護福祉士の有資格者は、ケアの実践経験を積んだあと、ケアマネジャーになるのが一般的なキャリアパスです。ですが私は、それ以外にも道はあると思っています。事業所にとどまりケアマネジャーを目指すのではなく、地域で力を発揮する道もあると考えています。地域包括ケアの推進には、ご利用者に寄り添う専門職として、より広い視野をもった介護福祉士が必要です。そのための専門的な技術・知識をもつのが、介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士です。さらなるキャリアアップとして、ぜひ認定介護福祉士を目指してほしいと願っています。

文:野本由起/写真:村上和真(株式会社ブリッジ)

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認定介護福祉士を目指そう

キャリアアップの新たな道

日本介護福祉士会では、介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士の育成に取り組んでいます。認定介護福祉士に関する詳細はこちらからご確認ください。

団体名公益社団法人 日本介護福祉士会
住所〒112-0004 東京都文京区後楽1丁目1番13号 小野水道橋ビル5階
設立1994年2月
目的介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与すること

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